パンツあたためますか？を読んだ感想

タイトルからしてボケ全開で行くような小説かと思っていたんですが、全然違う雰囲気な小説でした。ライトノベルというよりは一般文芸にある恋愛小説みたいで味があり、大変面白かったです。作者の方があとがきで、「初めて書いた長編小説」と語っていたのには驚きました。驚くぐらいの完成度でした。

以下ネタバレ含みます…

物語は大学生の主人公の語りで進行していきます。突然自分の部屋に現れた謎の美少女と、何をするでもなく持て余した夏休み。この冒頭の時点では、正直終わりまでの展開は全く読めません。ファンタジーのような物語の始まりだったのに、結局は、現実味のある、「ああ、そういうことだったのか。」と腑に落ちる終末にたどり着きます。「パンツあたためますか？」というタイトルは非常にインパクトがありますが、小説の内容とはあまり合ってないですね。文章も丁寧で、詩的表現が織り込まれていたりして、ギャグ系のラノベとはまた違ったものでした。ラノベの何処か夢物語のような雰囲気を全くもっていない作品ですね。最後の方の真央との別れを迎えるシーンでは、今までの伏線を回収するようになっていて、真央の「誰でも良かった。」というのが、現実感を倍増させてました。予想ではありますが、作者の方はライトノベルなどの物語から外れた物語を書こうと思ってたんじゃないでしょうか？随所に見られる「物語は終わっても人生は続いて行く」みたいな感じの表現が、物語が終わりが、全ての終わりみたいな感じのライトノベルは多いですよね。

以上ネタバレ終わり…

この作品は一般文芸の恋愛小説が好きな方も十分楽しめると思いますし、ラノベ好きな人にも楽しめると思います。実際すごく面白く、作品にひきこまれましたし。